モービルアイにはカメラが搭載されており、そのカメラを用いることで警報を出し、交通事故を未然に防ぐことができます。カメラが搭載されているなら、このカメラをドライブレコーダーとして使うことはできないのか?そんな素朴な疑問を耳にすることがあります。
ここでは、モービルアイのようなADAS※1(先進運転支援システム)用カメラとドライブレコーダー用カメラとの違いを解説しながら、その疑問に答えていきます。
ADAS(先進運転支援システム)に求められるカメラとは?
現在、新車の乗用車には、車線逸脱を知らせたり車間警報や衝突警報を出すなどドライバーの安全運転を支援するためのADAS装置が搭載されているのが一般的になりました。では、この安全運転支援を実現するカメラとはどのようなものかご存知ですか?
ADAS用のカメラは主に車内から車両前方をとらえ、エンジンをかけた瞬間から常にカメラで得た画像を解析しています。搭載されているADAS装置によって性能は大きく異なりますが、対象物を検知しそれが何であるかの特定や、対象物までの距離やスピード、自車両との相対速度の差などをあらゆる情報を瞬時に判断します。その結果をもとに警報などで通知して、ドライバーが適切な運転行動が取れるように促します。車種によっては事故を防ぐために車両側で強制的に衝突被害軽減ブレーキをかける機能が装備されているものもあります。
運転中の道路状況や周囲の環境は刻々と変化を続け、常にあらゆる対象物を検知・特定し判断することが求められます。
走行しながら解析を続けるためには、画像から情報の取得→解析を高速で行うことが必要です。
つまりそのカメラからは、スピードに対応しながら、常に解析に可能な画像が得られ続けなければなりません。
そのため、ADAS用カメラの画像は必ずしも鮮明である必要はなく、対象物の形や動きを検知できる程度の解像度やフレームレート※2があることが重要になります。
このことは、モービルアイのカメラ解析の映像を見れば一目で理解できます。
ドライブレコーダーに求められるカメラとは?
ドライブレコーダーの多くは社内外の状況を音声と映像で記録・保存し、事故や事件があった場合の証拠保全や盗難防止・防犯のために使われるため、事故原因や車両の状況を鮮明に記録する必要があります。そのため、ドライブレコーダーの用のカメラではより多くの情報を得るために高画質、広画角、高フレームレート(映像の滑らかさ)であることが重要になります。
また、ドライブレコーダーが動画を録画する仕組みには、大きく分けると3種類あり、求められる条件によって使い分けられています。
- 常時録画
エンジン始動後、常に録画を行うもので内蔵するSDカードなどのメモリーサイズによって録画時間が変わります。 - イベント記録
運転中に急発進・急減速などの急制動を行なった場合や、衝突など衝撃を検知した場合に録画を行います。 - 動体検知記録
夜間駐車時など、カメラが動くものを見つけた場合に録画します。
求められているものが異なるカメラ
これまでお伝えしたように、ADASのカメラとドライブレコーダーのカメラでは、求められるものが全く異なり、モービルアイのカメラをドライブレコーダーとして使うのは難しいことがお分かり頂けたかと思います。
- ADAS用カメラ
鮮明さは必要なく解像度やフレームレートは低くて良い。 - ドライブレコーダー用カメラ
できる限り鮮明で解像度やフレームレートは高い方が良い
細かな条件は省くとして、一般的に、高解像度でフレームレートの高い画像では、画像解析に時間がかかり瞬時の判断ができないため、ADAS装置としての高い性能を発揮することができません。
逆に、低解像度で低フレームレートでは、事故や犯罪に巻き込まれた場合に、肝心の瞬間が保存されておらず、ナンバープレートが読めなかったり、犯人の顔が認識できないといった問題が起こりドライブレコーダーとしての役目を果たすことができません。
適材適所の組み合わせで、交通事故削減に最大限のメリットを
モービルアイは、単眼のカメラと独自のアルゴリズムで高速の画像解析を可能にするADAS専用チップ・EyeQ®シリーズの組み合わせで、多くの車両メーカーに採用されており、この組み合わせだけで衝突被害軽減ブレーキのコントロールまで行なっているモデルがあるなど、ADAS装置として性能が突出しています。
さらにモービルアイは、後付けタイプのADAS機器に専用チップが搭載されている製品としては唯一と言っても良いものです。
ドライブレコーダーに安全運転支援機能が搭載されている製品もありますが、録画を目的としたカメラと汎用チップとの組み合わせでは、モービルアイのような性能は発揮できないのではないでしょうか。
しかし、モービルアイは高度な安全運転支援が行えるものの、単体では「いざ」という時に記録が残せないのは見逃せないポイントです。そこで、モービルアイ機器連携によって、デジタルタコグラフやドライブレコーダーを組み合わせて運用することをおすすめします。モービルアイの高精度な安全運転支援とデジタコの警報保存機能を組み合わせて活用したり、ドラレコのイベント記録を利用して運転状況を録画し活用するなど、お互いの利点を上手く使い交通事故削減はもちろん、運転習慣の改善に向けて最大限のメリットを得ることができます。
モービルアイと外部機器の連携にご興味のある方は、「モービルアイ機器連携」のページをご確認ください。
https://mobileye.japan21.co.jp/product/mobileyeconnect/
※1 ADAS: Advanced Driving Assistance Systems
※2 1秒間の動画あたりの静止画の枚数(コマ数)